ぐっすり眠るための睡眠薬としてのハチミツ
睡眠補助剤としてハチミツを使うことは、なにもおばあちゃん世代の話だけではありません。北米とヨーロッパの民間療法としてハチミツとホットミルクの組み合わせは有名だし、メキシコの伝統療法ではハチミツとカモミールティーを就寝前に飲むことが推奨されています。中国では「寝る前に毎晩ハチミツを食べること」をおススメする古い言い伝えがあります。
しかし、現代医学では夕食後には何も食べないようにすることが推奨されています。
果たしてどちらが正しいアプローチなのでしょうか?
夜に食べるのをやめる理由
栄養士が夕食以降に食べ物を摂取しないように言うのには、ちゃんとした理由があります。
最も明白なのは、夕食後以降に食事をすることは、一般的に通常の食事量を超えた追加の食べ物を摂取することを意味するということです。さらに、昼間と夜とでは燃焼できる代謝が異なっているため、夜の食事は脂肪の増加につながりやすく、よりコレステロール値などを高めてしまう恐れがあります。その結果、肥満につながってしまう危険性があります。
また、夜食は血糖値のコントロールや記憶機能にまでも悪影響を及ぼす可能性があります。
ハチミツは例外!
専門家は、夜に食事をする場合、高GI食品は血糖値の調整に問題を起こしてしまうので、低GI食品を摂ることを推奨しています。
ハチミツのGI指数は約50で、"中程度 "に分類されます。しかし、ハチミツを寝る前に摂取することのメリットは、そのリスクを大きく上回ります。
ハチミツと他の食品では、ハチミツはグリコーゲンと呼ばれるブドウ糖の一種を含んでいる点で異なっています。グリコーゲンは、体内にエネルギーを蓄える役割を果たします。そして、そのエネルギーは脳が働くために必要となる重要なエネルギー源となります。
なぜグリコーゲンが必要なのでしょうか?たとえば眠っている時、定期的に食べていない状態が続くと、血糖値が低下します。夜が深まるにつれて、血中に残っているブドウ糖は減少していき、脳は肝臓に格納されているグリコーゲンからブドウ糖を摂取します。しかし、最終的には、そのグリコーゲンも切れてしまいます。
脳はブドウ糖を使い果たすとパニックになり、ストレスホルモンであるアドレナリンとコルチゾールを生成するよう体に信号を送信し始めます。アドレナリンによって、筋肉組織に蓄えられたグリコーゲンを刺激して、そこから新しいブドウ糖を生成します。
これが真夜中に目が覚め、その後しばらく寝付けなくなってしまう原因なのです。
体内のブドウ糖の供給が少なくなると、もう一つ他の問題も生じてきます。脳がストレスモードの時に分泌するコルチゾールが体脂肪の蓄積を促し、それが体重増加につながってしまうのです。
どうすれば睡眠中のブドウ糖とグリコーゲンの不足を回避することができるのでしょうか?
答えは簡単です。寝る前にハチミツを食べれば良いのです。
甘い、甘いハチミツ
ハチミツは複合糖類の一種です。主な成分は果糖とブドウ糖という二種類の糖で構成されています。
ハチミツの糖度は高く、約30%のブドウ糖が含まれています。寝る前にハチミツをティースプーン1杯食べると、体内にグルコースが補充され、血中で使われたり、肝臓でグリコーゲンに変換されたりします。なので、あなたが夜遅くに食べたハチミツは、朝食の時間まで脳が必要とする分のエネルギーをグルコースとグリコーゲンという形で供給してくれます。
(ほとんどの医師は、減量のための断続的断食に反対しますが、ぜひ一度試してみてください。就寝前のハチミツは、一晩中血糖値のバランスを保ち、身体の代謝を上げて、脂肪燃焼を促してくれます。)
メラトニンも
ハチミツには、深夜に身体が必要とする燃料を補給する以外の意味があります。寝る前にハチミツのティースプーン一杯を摂ることで、二次的な利点が得られます。
体のインスリンレベルが上昇すると、アミノ酸トリプトファンが脳に放出されます。トリプトファンはセロトニンを生み出し、脳内でメラトニンというホルモンに変わります。
このメラトニンとは、睡眠導入剤のサプリメントで摂取できるものと同じものですが、自然に生成されたものは、サプリメントよりも早く作用してくれます。メラトニンは体の睡眠サイクルをコントロールすることができ、一晩中目を覚ますことなく眠るのを助けてくれます。
ハチミツの他の健康効果
摂取する時間帯に関係なく、ハチミツはどの品種でも、健康に良い効能を持っています。なので、夜遅くに温かいお湯やお茶に混ぜてハチミツを飲んだり、あるいは直接瓶から掬って食べることは、安眠効果以外にもたくさんの利益をもたらしてくれます。
寝る前にハチミツを摂ることの最後の利点は、口の中が甘い味で満たされた状態で眠りに落ちることで、甘い夢を見られるかもしれないという点です。これについては、医学的根拠は何もありません。しかし、私の母はよく私にそう言っていました。